【万華鏡―壱―】

 

きらきらと、きらきらと。

極彩の華達は色を変え、形を変えてその目に映りこむ。

歪みは本来の姿を包み隠し、眩ます。

その実、その姿は一つだというのに・・・。

 

 

 

――お慕いしています・・・・。誰よりも、貴方様を・・・・・・。

 

邂逅はほんの僅かばかりの時。

 

――――お慕いしております。誰よりも、貴方様を・・・・・・。

 

別段、深い誼のある相手ではなかった。

寧ろ赤の他人。偶然出会うことのできた、浅き縁とも呼べぬ縁で出会った人。

 

――今は何をしていらっしゃいますか?ご健勝であられますか?

 

相手は自分のことなど覚えてはいないだろう。

万に一つで覚えていてくれたとしても、自分の現状を気にかけるようなことはしまい。

そして自分は、彼の人の現状を知ることはできない。

 

――貴方様に会いたい・・・・・。

 

例えそれが叶わぬ願いであっても。

それが現世から遠く離れた夢の中だとしても。

それが己の作り出した幻影の一欠片であったとしても。

 

――逢いたい・・・・。逢いたい、です・・・・。

 

この声は届かない。

この手は届かない。

この想いは・・・届かない。

 

会えない。

会えない。

会えない。

会えない。

会えない。

 

会えないならば・・・・・・。

 

この器から抜け出そう。

身動きの取れぬ、身動きのままならぬ器など全て投げ捨てて。

 

会いに行こう。

身が無理ならば、せめて想い―――魂だけでも。

 

 

 

――お慕い、しているんです・・・・。

 

 

 

そして自由になる。

全ての拘束をすり抜けて飛翔する。

どんどんと高く、高く。遥かな高みへと。

 

 

想いは力。

例え善であろうと悪であろうと、そこに宿る力は確か。

想いは強ければ強いほど、他への影響力を持つ。

それが悪意無き純粋なもので、只管に一途な想いであるのなら尚更に。

 

そして力はそれを意図せずに影響を齎す。

歪んでいく真実。

歪められる真実。

 

そのことに気づいている者は・・・・・・・まだいない。

 

 

 

 

――私はここにいます。いるんです。どうか気づいてください・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・昌浩様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして真実は歪められる。

 

 

誰に気づかれることも無く、ひっそりと・・・・・・。

 

 

 

 

 

※呟き※

取り敢えずは序章。

ということで、これから拍手でちまちまとお話を連載していこうと思います。

すみません、まだ誰も出てきてませんね;;

えっと、このお話は400000hit企画で残念ながら定員漏れされてしまった方の、ネタの案を採用させて貰って書いております。

設定としては、『昌浩に想いを寄せていた女の人が病で亡くなり幽霊になり、その想いが強すぎて、昌浩の恋心を自分に向けてしまい、彰子と晴明(十二紳将)達で、昌浩を元に戻す。』というネタなのですが・・・。

これも気まぐれ不定期更新になってしまうかとは思いますが、どうぞお付き合いの程宜しくお願いします。